生存権を脅かす差し押さえ
中止を求め、緊急申し入れ
長引く景気低迷とデフレの影響により、歯止めがきかない所得減少で市民の営業と暮らしは困窮状況にある中、負担の大きい税金が生活をさらに圧迫しています。このような経済情勢のもと、最低限度の生活を営むために、あえなく分納相談を申請している納税者は少なくありません。そんななか、宮崎市による予告無しの不動産差し押さえや生命保険解約などの事例が起こり、相談が相次ぎました。
予告なしの財産差押さえ
建設業を営む会員のKさんは、不況の影響を受け売上げが急激に減少。事務所兼自宅の固定資産税など約100万円が滞納状況にありました。Kさんは、分納相談をしていましたが、約束した毎月の金額の納付も厳しくなり、金融機関に借り入れを申し込んだところ、事務所と自宅が差し押さえられていました。Kさんは差し押さえの解除を求めましたが、「差し押さえは解除できない。事前に差し押さえ予告の通知をする手続規定はない」と答えました。
生命保険を勝手に解約し納税に充当
製造業を営むTさんは、納税管理課と分納相談をして、分割で納税をしてきました。昨年は営業にアクシデントがあり約束した金額の納付ができない状況に陥り、連絡も出来ないままの状況にありました。今年になり突然、「生命保険を解約したので、滞納に充当した残金を振り込みます」と書かれた文書が届きました。
相談を受けた宮崎民商では、「納税者の実情を十分に把握していない一方的な財産差し押さえは、生存権侵害に当たる」と事態を重く受け止め、2月14日、宮崎市税務部長あてに「生存権をおびやかす財産差し押さえの中止を求める緊急申し入れ」を行いました。
この日の申し入れに参加したのは、宮商連事務局長、宮崎民商会長、事務局長、事務局次長、後藤泰樹宮崎市議会議員(日本共産党)の4名で、対応したのは担当課3名で、申し入れ内容は次の二項目。
一.予告なしの差し押さえは行わないこと。
二.生存権をおびやかす生命保険の解約は行わないこと。
永峰会長は、相談事例を伝え、「納税者の実情を十分に把握したうえで、このような手続きをとっているのか。命に関わる重要な手続きを、本人が知らないうちに行うのは不当」と訴えました。
当局側は、「納税者の相談への対応は、言葉遣いから十分徹底しているし、暴言を吐いたりしていない。徴収に関しても国税徴収法に準じて適正な手続きを踏まえているので、差し押さえ等に関しては、必ず事前に予告文書を発送している。」「ただし、滞納額が70万円以上の方は、特別滞納整理課が管理するので、そちらの手続きは納税管理課と多少違うかもしれません」と答えました。また、「納税の猶予や換価の猶予などの方法もありますが、二年以内に完済出来ない場合は担保処分する必要がありますので、できるだけ分納というかたちで相談に応じていますし、今は特に厳しい情勢ですので、今後も実情を十分に沿った対応をしていく」と答えました。
申し入れを終え交渉団は、「今回の事例は民商会員だから分かったこと。他にも同じような事例が起こっているはず。特別滞納整理課との懇談が必要」と語りました。