税務行政の民主的改善を求め熊本国税局交渉 反面調査や徴収問題など、不当な税務行政の実態を告発
国税通則法改正後、法令に基づいた税務行政を求めて各地で申し入れが行われていますが、一部の税務署では、法令を拡大解釈した呼び出し文書の乱発や強権的な税務調査・徴税を行っています。
熊本・大分・鹿児島・宮崎の4県連で各地で起こっている実態を明らかにし、11月18日(火)に熊本国税局に対して申し入れを行いました。
1.税務署員の基本姿勢について
2.行政指導文書について
3.質問検査権の行使について
4.事前通知・無予告調査について
5.第3者の立ち会いについて
6.反面調査について
7.滞納処分、納税緩和措置について
この日参加したのは4県連14名(宮崎県からは県連会長を含む4名が参加)で、国税局側は総務・課長補佐と係長の2名が応対しました。申し入れ事項は左の7項目です。
交渉は、まず初めに「法令に基づいた適正な税務行政を行っている」という課長補佐の答弁を確認した上で、それぞれの項目について実態を告発していきました。
■収支内訳書の督促文書に「調査を実施する場合があります」という脅しの文言を入れていること。また、一部の納税者にだけ文書を送付していることについて言及すると「納税者への(調査)予見性を高める観点での文言であり、調査の実施は総合的に判断するものなので、行政指導に従わなかったことだけを理由としていない。調査を実施することは行政手続法32条2項にも反しない。」「収支内訳書の提出依頼は税額の発生している人だけでなく全ての対象者に送っている」と回答。交渉団は「納税者が文言に恐怖を感じている。多くの納税者がそう受け止めているということは恫喝に等しい。今後一切やめること」と強く訴えました。
■反面調査について国税局側は「社会通念上やむを得ない場合、公平な徴収と合理的な観点から行うものであります。また納税者の了承が必要とされていないので行います」との回答に、参加者から「私たち商売人は10年・20年かかって信用を築き上げてきている。不当な反面調査は、商売人の命とも言えるこの信用を一瞬にして壊してしまうもの。厳に慎むべき」と切実に訴えました。また「回答の多くが『法令にあるからやります・法令に規制が無いからやります』と税務署にとって都合の良い解釈ばかり。調査は納税者の理解と協力を得て行うもので、接見もしないうちに反面調査を行うのは間違っている」と強弁しました。
一時間の短い懇談でしたが、他にも「税理士の印鑑がないのでどのような申告をしているか確認したいので3年分の資料を持って来署してください」という呼び出し、一カ所売上計上漏れのわずかなミスを理由に7年間の修正申告を行った事例、立会人と一緒に換価の猶予を求めて納税相談に行った際に「しっかりと相談にのりますから」と言い立ち会いを拒み、挙げ句には換価の猶予の話など一切せずに分納誓約書に印鑑を押させた事例など、次々に実態を告発して「これが現場で起こっている実態だ。今後同じ事が起こらないように指導を徹底すること」と強く求めました。
交渉を終え参加者は、まだまだ認識が一致しない事項が多い。今後も不当な実態を明らかにしていき、交渉を重ねていく必要があると語りました。