中小商工業者への施策拡充等を求め 自治体懇談・交渉(宮崎市・国富町・綾町)
小規模企業振興基本法に基づき、全国の自治体で条例制定が広がるなか、県内では宮崎県に次いで、今年6月に日南市が「中小企業・小規模企業振興条例」を制定しました。また、西都市ではいち早く店舗リフォーム助成制度を創設するなど、県内でも中小・小規模企業を「重要な存在」と位置づけ、地域経済振興に乗り出しています。
宮崎民商は、「地域経済の振興を図るために中小商工業者への施策拡充を求める要請書」を提出し、10月19日に国富町・綾町、29日に宮崎市と懇談・交渉を行いました。要請事項は、
①小規模企業振興基本法に基づく小規模企業振興基本条例を制定してください。施策の具体化にあたって審議会を設置し、民主商工会の代表を審議員として選出してください。
②事業者の仕事おこしのみならず地域住民の生活向上にも寄与する住宅リフォーム助成制度や、魅力ある地域づくりにつながる商店リニューアルへの助成制度を創設してください。
③地域経済と地域住民の生活を破壊する消費税の増税に反対を表明してください。中小業者に多大な実務負担を押し付ける軽減税率や適格請求書(インボイス)制度の実施に反対を表明してください。
④家族従業者の正当な働き分を認めず、封建的な「家制度」の名残である所得税法第56条の廃止に賛同してください。
(※④は意見書が採択されていない宮崎市のみに要請)
条例制定について
3自治体いずれも「検討して参りたい」の回答にとどまり、この間の制定に向けた具体的な動きはありませんでした。交渉参加者は「条例制定は地域経済発展及び住民に対する市政の現れ」「本気で制定に着手してほしい」と強調しました。
住宅・店舗リフォーム助成について
国富町・綾町は住宅リフォーム助成制度を継続しており、「経済効果としては10から15倍で需要もあるため、継続する魅力ある制度」と次年度も実施するとの回答。宮崎市は「諸制度は三年ごとに見直すようにしており、当時の判断で廃止している。再創設は考えていない」と回答。参加者は、地域が元気になる施策であることや全国実施自治体の実績も示しながら、住宅・店舗リフォーム制度の実施に向けての予算計上を求めました。
消費税問題について
各自治体とも、消費税率引き上げで「地方消費税交付金は増収となるが、地方交付税と相殺されるため、実質的には自治体としても消費税率引き上げ分が負担増となる」「増税が住民生活に負担を及ぼす」と回答するも、国に対して反対を表明してほしいという要請に対しては「国・全国・県内自治体の動向も注視しながら検討していきたい」という姿勢にとどまりました。参加者は商工新聞を手渡し「秋田県では9自治体が住民を守る立場に立ち、地域経済を疲弊させる消費税増税反対の陳情を採択し国へ声をあげている。宮崎も同じ立場で反対を表明してほしい」と強く訴えました。
所得税法第56条廃止について
労働に対する対価の面で宮崎県の最低賃金762円をも大きく下回っていることや、事業承継問題も含め宮崎市として問題意識を持ってほしいと強調しました。 交渉を終え参加者は「条例制定を含め、要求実現のためには他団体との共同を強め、地元住民・業者の声をもっと届ける必要がある」「消費税も自治体請願・陳情を行おう」と語りました。